意識していない強い筋肉収縮が突然発生し、つって痛みを伴う症状を俗に「こむら返り」と言い、医学用語では「有痛性筋痙攣(けいれん)」や「筋クランプ」とも表現されます。一般健康人でも激しい運動や長時間の立ち仕事の後には下肢を中心に起こることがあります。60歳以上の6%が毎晩こむら返りに襲われているという報告もあります。
日常生活の疲れが積み重なると生じます。また、冷えによる血行不良やカルシウム、マグネシクム、ナトリウム、カリウム、水素の各イオンのバランスが崩れた時にも起こります。足がつる予防策としては、ふくらはぎの筋肉をほぐすために、日頃から腓腹(ひふく)筋を伸ばすストレッチやマッサージをお勧めします。
こむら返りが起こりにくくなる予防法としては、規則正しい生活、バランスの良い食事、適度な運動および運動後のストレッチ、ミネラル(無機質:カルシウム、マグネシクム、カリウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン)の入った水分の積極的な補給、アルコール・タバコの減量、ヒールが高いような疲れやすい靴を避けるといったことが基本となります。また、仰向けで重い掛け布団を使うと足首の関節が伸ばされ、こむら返りが起こりやすくなってしまいますので、横向きで寝たり、軽い掛け布団にしたりするのも有効です。
予防および発作時の治療として内服薬を使うこともあります。よく使われるのは漢方の芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)で、10分くらいで効いてきます牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)や八味地黄丸(はちみじおうがん)、筋弛緩薬のエペリゾン(ミオナールなど)、抗痙攣薬のジアゼパム(セルシンなど)があります。
大量の汗をかいた時、下痢や嘔吐(おうと)の後に、ミネラルバランスが崩れ、筋肉が興奮状態になって足がつります。喉(のど)の渇きや手足のしびれ、腰痛などが同時に起こる時には、糖尿病や椎間板ヘルニア、腎疾患の前兆かもしれませんので、早めに医療機関を受診しましょう。
(同友会メディカルニュースより引用)