2018.12.17
「A群溶血性レンサ球菌(溶連菌)咽頭炎」
A群溶血性レンサ球菌とは、細菌の一種です。大きさは2マイクロメートル以下、30~40個並べてようやく髪の毛の太さになる程度の目に見えない小さな生き物です。連なった鎖のように増える球状の菌体のため「連鎖(レンサ)球菌」と呼ばれます。A群溶血性レンサ球菌は、咽頭炎(のどの風邪)を引き起こすことで有名ですが、皮膚やその下の脂肪組織、筋肉などに感染し、丹毒(たんどく)、蜂窩織炎(ほうかしきえん)、壊死性筋膜炎といった病気を引き起こすこともあります。子どもの咽頭炎の20~30%、大人の咽頭炎の5~15%程度を占め、小児科だけの報告でも、日本国内で毎年25万人の感染の報告があります。1年を通して流行がみられますが、春先から初夏が比較的多い時期です。
症状は全身倦怠感、咽頭痛などが現れ、嘔吐を伴うこともあります。むくみ、扁桃腺の腫れなどもみられます。また、上あごに赤い小さな斑点や点状出血がみられたり、苺舌(赤くブツブツ)になったりします。 熱は約3~5日程度で下がり、発症から約1週間で症状は軽快します。また症状がある人からの分泌物が、鼻やのどの粘膜へ接触することで感染し(飛沫感染、接触感染)、感染してから2~5日(潜伏期間)で発症します。
治療にはペニシリンやセフェム系の抗菌薬が使用されます。これらの抗菌薬は細菌の細胞壁に働きかけて殺菌し、増殖を抑えることで、症状を軽減します。軽快後もA群溶血性レンサ球菌が残っているとすぐに再発したり、合併症をおこしたりする可能性があるため、症状が治まってもしばらくは薬を飲み続ける必要があります。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎に有効なワクチンはなく、流行時は日常的によく手を洗ったり、アルコールで消毒したりすることが大切です。特に、咳やくしゃみをした後や、食事の準備・食事前には、手洗い・手の消毒を心がけましょう。また、感染者と同じコップで飲み物を飲んだり、同じ皿から食べ物を食べたりすることで感染が広まる可能性があるので、自分や家族に症状があるときは注意が必要です。
インフルラボ他より引用