2018.11.01
「肺炎球菌ワクチン」
肺炎は日本人の死因第3位であり、特に高齢者においては命に関わるケースもある疾患です。
日常生活で感染する肺炎の原因菌は、肺炎球菌がもっとも多いとされており、肺炎球菌ワクチンを接種することは肺炎の予防に非常に効果的と言えます。
肺炎球菌予防接種はニューモバックスとプレベナーの2種類があります。
✿ニューモバックスとプレベナーの違い
肺炎球菌は莢膜(きょうまく)と呼ばれる細菌本体を守る役割の膜を持っており、この莢膜の性質により90種類以上の肺炎球菌が存在しています。
このうち病気の元になるものが30種類程度とされており、ニューモバックスはこのうち23種類の肺炎球菌に対して予防効果、プレベナーは13種類の肺炎球菌に対しての予防効果をもっています。ニューモバックスとプレベナーは共に肺炎球菌に対して予防効果のあるワクチンですが、その対象となる肺炎球菌の種類が異なります。
そして、プレベナー13にはニューモバックスには含まれていない6A型という近年感染増えてきている型を含んでいます。
注射は、ニューモバックス:筋肉内または皮下注射、プレベナー13:筋肉内注射です。
ワクチンの種類の違い
ニューモバックスは莢膜ポリサッカライドワクチン、プレベナーは蛋白結合ワクチンとされています。ニューモバックスの莢膜ポリサッカライドワクチンとは細菌の莢膜のポリサッカライドと言われる部分を使用したもので、これを人に接種すると肺炎球菌に対する抗体が体の中で作られ、予防効果が期待できます。
一方、プレベナーは蛋白結合ワクチンであり、これはポリサッカライドに蛋白質を結合させたもので、人に接種すると記憶免疫と呼ばれる免疫を得ることができ、強力な予防効果が期待できます。
ニューモバックスとプレベナーの併用
2014年9月にACIP(米国予防接種諮問委員会)よりニューモバックスとプレベナーの併用が推奨されています。併用方法はプレベナーを先に接種し、6〜12ヶ月の間隔を空けてからニューモバックスを接種,ニューモバックス予防接種既往歴のある方は接種後から1年以上てプレベナーを接種するという内容に修正されていますニューモバックスとプレベナーを併用すると予防効果が高まります。メリットとして、両方のワクチンに共通している血清型の抗体の効果が高まるブースター効果が認められています。
ただし、ニューモバックスとプレベナーの併用は日本人を対象としたデータがあまりないため、高齢者に関しては、助成制度のあるニューモバックスの定期接種制度を利用することを日本呼吸器学会と日本感染症学会の合同委員会は推奨しています。
ニューモバックスとプレベナーを併用する場合の注意点として、高齢者の場合、プレベナーは助成の対象となりません。任意接種の扱いとなるため、費用が高額に感じることがある点には注意が必要です。
ニューモバックス予防接種に対して、安中市ではその年に65、70、75、80、85、90、100歳の年齢になる方、接種時点で60歳以上65歳未満でも心臓、腎臓もしくは呼吸器の機能またはひと免疫ウイルスにより免疫機能に障害のある方は自己負担2000円(市の補助は6500円)、安中市在住で65歳以上かつ定期予防接種の対象から外れる人、ただし過去にこの予防接種を受けたことのある方で市からの補助は受けておらず、接種から5年以上経過している方で医師が必要と認めた方は市からの3000円の補助を受けられます。(当院では4560円の自己負担)また当院ではプレベナーは自費で11900円です。
引用 参考文献:優しい薬の説明書