2018.6.11

「在宅ケア」

全国各地で地域医療について、どういった取り組みをしているのか調べていく中で、今回千葉県の「在宅ケア」を広める試みの記事を抜粋し御紹介します。千葉県医師会の理事お二人の方に聞いたインタビュー記事ですが、県外の人たちにとっても、かかりつけ医を持つことの大切さや、在宅ケアの課題についてとても理解しやすいお話となってします。

-「在宅ケア」を千葉県で取り上げる意義はどこにあるのでしょうか。
千葉県で65歳以上のお年寄りが占める割合はまだ約2割ですが、高齢化率は、埼玉県に続き、全国2位です。つまり、急激に高齢化が進むという状態なのです。
高齢化が進んでいる日本にとっては、在宅療養は国策の一つです。実際、日本は他の国に比べて病院で亡くなる方が8割以上と非常に多いのが現状です。ところが、千葉県での調査では、5割以上の人は自宅で最期を迎えたいと考えています。この差を埋めるにはどうしたら良いか。「在宅ケア」です。 病院は、病気を治すところであって生活の場ではないのです。疾病や障害が安定して、療養や介護が主体になったとき、「在宅」を選択するということは、ごく自然なことで、特別なことではありません。

-「在宅ケア」を選択するには、何から始めれば良いのでしょうか。
まず「かかりつけ医」を持つことです。主治医がいないと在宅ケアは始まりません。専門医に診てもらいたいという方は非常に多く、いよいよ都会の病院には通えなくなった時に、初めて町医者にかかるという方も多いようですが、そうなる前に「かかりつけ医」を持ってもらいたいのです。
かかりつけ医は、家族を含めて、長い間診療をしているので、信頼関係があります。「通院ができなくなったら、往診ね、一緒にやっていきましょうね、」ということです。一緒になってやっていけるシステムを早いうちから作っていきたいのです。
今は大きな病院で治療を受けると、今後のことを聞かれるので、そこで、地域包括支援センターを紹介してもらい、そこからかかりつけ医を紹介してもらうという方法もあります。地域包括支援センターは、市町村には必ずありますが、どこにあるのかも分からず、使えるということも知らない人は多いです。一人になってしまう前に、まずは相談してください。また、在宅医療で必要な医療機器や介護用品なども揃えてあります。そういったものも利用して欲しいですね。
どこかで耳にしていれば、安心して「在宅ケア」という選択肢を選ぶことができるのです。ところが、いざとならないと、なかなかそこに気づけない。そうならないために千葉県医師会では、安心して「在宅ケア」という選択肢を選ぶことができるための啓発活動を行っています。医師会館の1階は「地域医療総合支援センター」となっていて、在宅医療のための医療機器などの紹介や、学生さんの校外学習、研修会など地域医療を支える人たちの場の提供も行っています。
また、「在宅」と「入院(病院)」をつないでいくことも重要です。これも、多種多様なプロの協力があってこそ出来ることなのです。千葉県医師会は、「共同」による医療が当たり前になるような仕組み作りを促進していきたいと考えています。

*引用:m3.com医療維新  「在宅ケアをはじめる第一歩はかかりつけ医を持つことー海村孝子理事、松岡かおり理事・千葉県医師会に話を聞く