2018.03.31

「過去の病気ではない」結核、年2万人発病…薬剤耐性菌増え予防意識必要

かつて日本でも蔓延していた結核。患者は激減したものの、いまも年間2万人前後が発病します。結核研究所によると、日本ではワクチンの普及と、届け出による患者管理の徹底などにより、1965~78年に罹患率を年間約10%減少させました。ただ、世界的に見れば、結核は今も10大死因の一つと言われ、2016年に新たに結核にかかった人は1040万人、死亡した人は170万人とされます。栄養不良で発病する人が多いほか、HIV感染や糖尿病、喫煙などが影響することも多いと言われます。
大きな問題となっているのは、抗菌薬に耐えられる薬剤耐性菌が増えていること。薬剤耐性菌の発生を防ぐためにも、抗菌薬の正しい使い方を周知する必要があります。また、結核の多い国から日本に持ち込まれるリスクもあるため、予防の意識は大切です。

【結核】
結核菌という細菌が肺に感染して起こる疾患です。肺以外にもリンパ節、腸、骨などにも感染します。人から人に空気感染しますが、感染しても発病する人は10%程度です。多くの人は感染に抵抗して免疫が出来ますが、その後高齢になったり、免疫力が落ちたときに発病することがあります。咳、痰、血痰、だるさ、発熱、寝汗、体重減少などが出ることもあります。2週間以上咳が続く場合、血痰がある場合には胸部Ⅹ線検査を受けましょう。
結核と診断されたら、抗結核薬の内服治療をします。4種類の治療薬と副作用予防の薬を内服します。治療は6ヶ月間と長く、途中でやめずに治療終了までしっかり続けます。治療が中途半端になると薬剤耐性結核となり、薬が効かなくなってしまいます。結核菌が痰から大量に出ている場合には菌が減ってくるまで結核専門施設で入院治療をします。結核は治療をしっかり最後までできれば、ほぼ治る病気です。確率は低いですが、再発することがありますので、治療後2年間は定期的に胸部Ⅹ線検査をします。

ヨミドクター、日本呼吸器学会より引用