2018.4.13

「耐性菌」

厚生労働省は誤った使い方によって薬が効かなくなる「耐性菌」の広がりを抑えるため、医師が乳幼児の風邪や下痢に抗生物質を使わずに適切な説明をすれば、医療機関に報酬を支払う新たな仕組みを設けました。
国内でよく使われている抗生物質には、セファロスポリン系のフロモックスやフルオロキノロン系のクラビット、マクロライド系のクラリスなどがあります。肺炎などを引き起こす細菌を壊したり増えるのを抑えたりするが、ウイルス性の風邪やインフルエンザには効かない。耐性菌は人の体内や環境中に一定数存在する。抗生物質を使って他の菌を死滅させても、耐性菌は生き残り増えてしまう。厚労省によると、2015年に全国の病院で見つかった黄色ブドウ球菌の48・5%が耐性菌だった。厚労省はこの割合を20年に20%以下とする目標を掲げ、17年には抗生物質適正使用の手引を作った。軽症の風邪や下痢に使わず、細菌感染が疑われる重症例に限るよう勧めている。手引に基づき抗生物質が不要と医師が判断した場合に病院や診療所側に小児抗菌薬適正使用支援加算が支払われる。幼いと副作用が出やすいため、この年齢層から始めるという。
適切な量を適切な期間で抗生物質を使えば薬がしっかりと効き、細菌を圧倒して全て退治します。しかし、抗生物質を中途半端に投与すると、薬が効きにくい特徴を持った細菌が生き残ることがあり、薬が効きにくい細菌だけが生き延びて、細菌はトレーニングされ、「耐性」を獲得してしまうことがあり、症状が治まったからといって、途中で抗生物質を止めてしまうことは、「耐性」ができる大きな原因である。選別されていく細菌も生物の一種のため、自然界でも様々な特徴を持つ多様な細菌が存在し最終的には薬が効かない完璧な「耐性」を獲得してしまった「耐性菌」が出現することになります。こうなってしまっては、抗生物質を適切に使用したところで、全く効きません。少しくらい薬が効きにくい特徴を持っていたとしても、抗生物質を適切に使用した場合には薬が圧倒し、完全に退治することが可能です。
治療の途中で抗生物質を中断してしまうこと、長期間に渡って同じ抗生物質を使い続けることは、「耐性菌」を生む最大の要因になります。処方された抗生物質は用法・用量を守り、きちんと最後まで飲み切る。日本では薬を用法用量通りに飲んでいる人は2〜3割と言われ、無駄になっている薬代は年間約500億円にもなるそうです(日本薬剤師会調べ)薬は用法用量を守ってこそ効果を発揮するもの。自分の身体のためにも、処方された薬はきちんと飲み切りましょう。

日本調剤、お薬Q&A 毎日新聞より引用