2018.3.29

「緑内障の原因「ストレス、遺伝子が原因」」 

視野が欠けたり狭まったりして、悪化すれば失明に至る緑内障は40歳以上の5%が発症するとされている。治療の進歩で病気の進行を抑える患者も増えた一方、既存の治療では進行を食い止められない症例もある。多くの要因が複雑に関係する緑内障を解明し、新たな治療に結びつけるための研究の現状を専門家に聞いた。

東北大の中沢徹教授(眼科)によると緑内障が疑われた場合、視野、眼圧、眼底を検査して病状を診断する。緑内障の主な原因は眼圧上昇により視神経が傷つくことだ。
点眼薬や手術により眼圧を下げる治療が行われる。眼圧が下がれば過半数が病気の進行を抑えられることが分かった。一方、眼圧が正常範囲でも緑内障は発症し、眼圧を下げても約4割の患者は徐々に病気が進行したという。

東北大では視神経が眼球から脳に向うときに通る網目状の「篩状板」と呼ばれる組織の厚みを光干渉断層撮影で測定する。その篩状板が薄く成ると緑内障が進行することを明らかにした。
中沢教授は眼圧以外の要因で起こる篩状板の異常はストレスが関与していると考えている。特に58歳以下の比較的若い患者ほど強く関与していることも分かり、ストレスを緩和する治療も必要としている。

緑内障の研究では患者ごとに遺伝子の特徴と症状との関係を明らかにする解析も進む。
患者565人の遺伝子情報から緑内障との関連が知られていた3つ領域の変異を突き止めた。眼圧や血流、網膜の神経層の厚みを遺伝子レベルで診断する。近い将来、患者ごと個別に治療を選ぶことも可能になるかも知れない。

片方の目から起きる緑内障は発病の初期に若干の異常があっても脳の働きで見え方が補正され、異常に気づきにくい。多くは眼科検診、眼鏡を作る際の眼検で発見されることが多い。中沢教授は「傷んだ視神経は元に戻らないため、それ以上傷つかないようにすることが何より大切」という。

症状がゆっくり進むため、特に働き盛りの患者はつい受診を怠りがちだ。目に少しでも異常を感じたら、早い時期に検診して最適な治療を受け緑内障の進行を抑えることが高齢になるまで視力、視野を保つことになると強調している。

上毛新聞記載