内視鏡による感染を引き起こす主な病原微生物
消化器内視鏡機器が進歩して構造が複雑になるとともに、内視鏡機器を介した感染事故が報告されるようになりました。国内・国外で報告された病原微生物には、細菌では緑膿菌、サルモネラ、ヘリコバクター・ピロリ、O157、ウイルスではB型肝炎ウイルス(HBV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、真菌ではバイゲル毛芽胞菌、原虫では糞線虫などがあります。
1997年、活動性C型肝炎の患者のあとに、大腸内視鏡検査を受けた2人が3カ月後のHCV感染症に罹患。チャンネルをブラッシングしていない、スコープの消毒剤への浸漬が不十分、生検鉗子が超音波洗浄やオートクレーブ滅菌されていないなどによって感染しています。
そのほかにも、ヒトに害をなす微生物は無数ともいえるほど存在します。完全に排除することは困難ですが、現段階での知識・技術を可能なかぎり駆使して万全に対処することが、患者や家族、医療従事者にとっても何より求められています。