2018.1.27

「冬の脱水」

湿度が下がるとカラダから水分が失われます
日本の冬は乾燥しています。とくに降雪量が少ない太平洋側では乾燥した気候が続きます。カラダにとって快適な湿度は50~60%ですが、冬場の湿度は50%以下になることが少なくありません。
外気が乾燥すると、知らない間にカラダから水分が失われやすくなります。それは不感蒸泄が増えるからです。
不感蒸泄とは、皮膚、粘膜、呼気などから意識しないうちに失っている水分のこと。皮膚や粘膜から失われるのが全体の約80%、呼気から失われるのが残りの約20%だと言われています。気候が乾燥すると、皮膚、粘膜、呼気のいずれからも失われる水分が増えます。 冬の室内では水分はさらに失われやすくなります
冬の室内は屋外よりも10~20%も湿度が低下する傾向があります。したがって屋外よりも乾燥している室内の方が不感蒸泄は増えます。
冬に増加する不感蒸泄は、自分では意識しないうちに起きています。つまり知らない間に水分が失われるのが、冬のジンワリ乾燥からの脱水の最大の特徴なのです。
夏の「かくれ脱水」の多くは発汗が引き金です。発汗は意識しやすいのに、不感蒸泄は意識しにくいので、冬は脱水に対する警戒感が下がっています。
冬場に水分摂取を減らすと危険です
暑い季節に汗をかくと自然に飲み物を求めますが、冬は汗をかきにくいため、発汗時に飲み物から水分を摂る機会が少なくなります。さらに寒くなって「カラダを冷やしたくない」という理由から、飲み水の摂取を控えることもあります。とくに高齢者や乳幼児、何らかの持病がある方といった「脱水症」の高リスク者は、こうした状況を続けると脱水状態になりやすいと考えてください。

乾燥したオフィスで長時間デスクワークを続けるときは、こまめな水分補給を。
高温多湿な環境における大量の発汗による夏の「かくれ脱水」の場合、水分と電解質(おもにナトリウムイオン)を速やかに補うことが求められますが、乾燥による不感蒸泄では電解質の喪失は少ないため、コップ1杯の水を補うだけでもリスクを減らすことができます。
ただしジンワリ乾燥からの脱水は自覚しにくいので、喉の渇きを覚える前にこまめな水分補給を行ってください。放っておくと脳梗塞や心筋梗塞などへつながる可能性があります。

冬の水分摂取は温かい飲み物でも
寒い季節にはカラダを温めてくれる飲み物が欲しくなります。そして温かい白湯はカラダを内側から温めながら、同時に水分補給をしてくれます。温かい飲み物といえば、コーヒーや緑茶をよく飲む方もいることでしょう。ただし、コーヒーや緑茶には利尿作用を持つカフェインが含まれています。オシッコの量が増えると、尿には水分と電解質が多く含まれていますので、夏と同じような「かくれ脱水」に陥りやすくなります。コーヒーや緑茶を一度にたくさん(500mℓ以上)飲んでしまうと、摂った水分が利尿作用で排泄されます。利尿作用のある飲料のがぶ飲みは控えてください。

教えて!‘かくれ脱水’委員会 – 冬脱水SOSより引用