2018,1,20

「認知症が引き起こす犯罪行為の危険性 周りのサポートで防げるか?」

神経疾患は、判断、行動、感情の処理、性行動、暴力、自己認識に異常を来してくることが知られています。このような障害は反社会的行為や犯罪行為につながる可能性もあり、注意や周囲のケアが必要となってきます。これまでそうした行為と無縁だった人が関係してくることもあり、社会的な対策も必要になってくると予想されます。
2015年1月5日、スウェーデン、ルンド大学のリエーグレン・マドレーヌ氏らの研究グループは、ジャマ(JAMA)誌ニューロロジーで認知症、患者の犯罪行為の頻度と種類を検証した結果を報告しました。

対象となったのは、1999年から2012年にカリフォルニア大学の記憶と加齢研究センターを受診した2397人です。この中には、大きく4つのタイプの認知症関連の病気の人が含まれていました。545人は日本でも発症率の高い「アルツハイマー病」、171人は若い人で多く発症し人格的な障害が現れる「前頭側頭型認知症」、89人は前頭側頭型認知症のうちの1つで物の意味が理解できなくなる「意味性認知症」、30人は遺伝性の病気で動作に異常が起きる「ハンチントン病」です。
対象となった2397人のうち、これらの疾患を発症した後に、犯罪歴があったのは204人(8.5%)となっていました。そのうち、アルツハイマー病では545人中42人(7.7%)、前頭側頭型認知症患者では171人中64人(37.4%)、意味性認知症患者では89人中24人(27%)、ハンチントン病患者では30人中6人(20%)でした。

犯罪行為の種類は、前頭側頭型認知症と意味性認知症では多岐に渡り、窃盗、交通違反、性犯罪、不法侵入などとなっていました。一方でアルツハイマー病では認知機能障害と関連した交通ルール違反がほとんどだったそうです。研究チームは、認知症に伴う犯罪行為を司法が判断するときには、症状によって個別に判断する必要があると言っています。

認知症の人を常に見張っていることは難しく、線路への立ち入りや行方不明者なども社会的な問題となっています。しかし、このような悲劇をなんとか防げないのでしょうか。今後の研究で、周囲が気をつけるポイントや、サポートすべきことがわかってくることを期待したいです。

MYCODEより引用