2017.10.5

「RSウイルス感染症」

RSウイルス感染症は秋から徐々に患者が増え、12月くらいにピークを迎える感染症です。
乳幼児や持病のある子供が感染すると重症化することがある病気です。
RSウイルス感染症は、RSウイルスを病原体とする急性呼吸器感染症です。冬の風邪のほとんどがRSウイルス感染症で、誰でも感染したことのある病気です。1歳までに50~70%、2歳までに100%の子供がRSウイルス感染症にかかります。何度も繰り返し感染するので、乳幼児や小中高生に限らず、大人も何度もかかっていると考えられます。潜伏期間は2~8日、症状は鼻水、鼻つまり、咳、発熱です。重症化すると、気管支炎や肺炎を起こすことがあります。重症化しやすいのは、1歳未満の乳児、低出生体重児や心臓や肺などに病気のある乳幼児です。また、高齢者も感染すると気管支炎や肺炎を起こしやすいと言われています。
RSウイルス感染症かどうかは、迅速診断キットを使ってウイルス検査を行えばわかります。インフルエンザのウイルス検査と同じように、鼻から粘液を採取し、ウイルスの有無を調べる検査法です。ただしこの検査が保険で受けられるのは1歳未満の乳幼児と、入院中か入院が必要と判断された子供に限られます。またRSウイルス感染で重症化の危険がある28週以下の早産で1歳未満の乳児や、29~35週の早産で生後6か月以下の新生児、過去6か月以内に気管支肺異形成症の治療を受けた2歳以下の乳幼児や、先天性の心疾患、免疫不全、あるいはダウン症候群で2歳以下の乳幼児の場合は感染後の重症化を防ぐ注射薬(モノクローナル抗体)が保険適応となります。以上ようなRSウイルス感染症で重症化のリスクの高い乳幼児は流行期の10月~2月には1カ月に1回抗体薬を注射して感染時の発病や重症化を防ぐようにします。
1歳未満の乳児の20~30%がRSウイルス感染症で重症化するといわれていますが、ウイルス検査の普及や抗体注射の適応により、重症化の頻度は1%未満ではないかとみられます。
この感染症には予防するワクチンや特効薬はありませんが、風邪症状と同様、鼻水を抑える薬や解熱鎮痛薬の服用となります。子供がRSウイルス感染症になったとしても、高熱が出たり、食欲がないなどの症状が無ければ登園可能です。感染しても症状が出ていない人もいます。
特に注意が必要なのは乳幼児や高齢者で、熱があってぐったりしている、母乳、ミルク、食事、水分がとれない、目線があわないなど重症化のサインがみられるときはすぐに医療機関を受診して下さい。
これから風邪やインフルエンザ等の感染症が増える季節になります。
外出後や、食事の前には、うがいや、石けんでよく手を洗い感染予防に努めましょう。

健康情報誌こまど より