2017.8.25
「75歳以上の免許自主返納、1~5月は10万人以上 昨年大幅に上回る」
3月の改正道路交通法施行で高齢ドライバーの認知症対策が強化され4か月余り。今年の1月~5月に75歳以上で運転免許証を返納した高齢者は10万人を超え、昨年の年間返納者数約16万2000人を大幅に上回るペースです。また、同じ期間中の75歳以上の交通死亡事故は151件。過去10年で最少を記録しました。
警察庁によると運転免許証の自主返納の増加について「高齢者による交通事故が社会問題化し、安全運転への関心が高まったからではないか」と分析しています。75歳以上の返納率トップは東京の3.18%、次いで大阪3.00%、神奈川2.63%となりました。
新しい制度では、75歳以上の高齢者は免許更新時に行われる認知機能検査で「記憶力・判断力が低くなっている」と判定されると医師の診断が義務付けられます。さらに認知症と診断されると免許の取り消しの対象となります。警察庁では改正法施行により受診対象者が年間5万人になると見込んでいます。
また、70歳以上のドライバーは免許更新時に高齢者講習を受けることになっていますが、実際に講習を担う指定自動車教習所の数は昨年末時点で1332か所あり、少子化などの影響で10年前と比べて約200か所減少しています。今年1月時点の全国の高齢者講習受講待ち平均日数は56.9日となっています。警察庁によると「運転免許試験場など警察施設での講習実施を広げていきたい」としていて、実際に警察施設での講習は27都道府県60か所で行われています。
75歳以上の交通死亡事故も1月~5月の同時期比で14.2%減少しました。この10年間は年間約450件前後で推移してきましたが、今年はこのペースでいくと300件台まで減少する可能性も出てきました。自主返納率が上昇し、事故も減少傾向にありますが、一方で認知機能検査の医師が不足する、高齢者講習の受講待ちなどがこれからの課題のようです。
財経新聞より