2017.8.23
「咀嚼回数と健康の関係」
現代の日本人が一度の食事で噛む回数は約600回と言われています。600回と言うと多いと感じるかも知れませんが昔と比べると激減しているのです。戦前は約1.400回、弥生時代では4.000回噛んでいたと言われています。食文化の変化があるとはいえ、これほど噛む回数が減ると現代人に悪影響が出ています。
「早食いをすると太る」は言い換えれば「噛まないと太る」ということ。噛むという行為は脳の満腹中枢を刺激して満腹感が得られます。しかし、噛む回数が少ないと満腹中枢への刺激が少なく必要以上に食べ肥満につながります。
噛む回数が減ることで起こるもうひとつ悪影響は歯周病です。歯周病は歯と歯茎が細菌の繁殖などにより炎症を起こします。驚くべきことに日本人の約80%が歯周病というデータも有ります。良く噛むことで唾液分泌量が増え口の中の細菌を洗い流し歯周病のリスクは減ります。また、良く噛むことで食べ物は細かく砕かれ唾液とよく混ざり消化され胃の調子も良くなります。
アルツハイマー病を引き起こすとされている蛋白質「β-アミロイド」は脳の神経細胞を壊す有害な物質です。最近の研究によれば咀嚼運動が少ないほど「β-アミロイド」が多く成り痴呆に成りやすい。良く噛む人ほど脳が活発化して記憶力、認識力、判断力、集中力が高まり痴呆に成りにくい。
成長期に食べ物の咀嚼を制限したマウスの学習能力
成長期に食べ物を良く噛まないと記憶や学習の機能が阻害される可能性があることが分かったと東京医科歯科大学大学院の研究グループが発表した。
研究グループは離乳期から成長期にかけて粉末飼料を与え、咀嚼を低下させたマウスと固形食で成長した正常マウスについて記憶、学習能力に差が出るかどうかを調べた。
正常なマウスを明るい箱に入れると不安のため暗い箱に逃げ込む、逃げ込んだ暗い箱の中で電気ショックを与えるとマウスは暗い箱の中に入るのをためらう様になる。しかし、咀嚼が少ないマウスは電気ショック与えても恐怖を忘れ、暗い箱の中にためらうことなく入った。
東京医科歯科大学大学院の研究グループより